吉野・智頭林業型二地域居住構想

吉野・智頭林業型二地域居住構想

公開日2026年7月16日

取組事例の概要

【①取組の目的】
企業の自然共生(ネイチャーポジティブ)への関心が高まる中、従来的な脱炭素領域だけでなく、生物多様性保全や森林サービス産業の文脈で森林と連携する企業が顕著に増加している。代表法人である大和森林管理協会では、セブン-イレブン・ジャパン、ならコープ、ニチアスといった県内外の企業との有償型森林連携事業が既に始動しており、連携の可能性はさらに広がりを見せている。国においても、2018年に「森林サービス産業」が提唱され、林野庁では令和8年に森業課を新設、令和8年4月には国土緑化推進機構・林業経済研究所・森林総合研究所を中心に『森林サービス産業白書』が発刊されるなど、森林の多面的機能の社会的価値化が国政の優先課題として加速している。一方、林業従事者は減少・高齢化が進む中、新規就業者は「緑の雇用」開始以前の年平均約2,000人から、開始以降は年平均約3,200人へと増加。本コンソーシアム構成団体である智頭町複業協同組合では令和3〜4年で副業人材応募者400名超、令和3年度開校の奈良県フォレスターアカデミーでも毎年20名程度が入学するなど、林業キャリアを希望する人材も一定数存在する。
しかし、こうした市場機会と人材供給の高まりにもかかわらず、現場の林業はこれに応える体制になっていない。市場が求めているのは、従来的な素材生産前提の山づくりではなく、安全性を確保しつつ生物多様性や森林サービス産業に配慮した森林のゾーン設計、これに連動する作業道開設、企業連携を前提とした森林経営計画の策定である。国家資格として森林施業プランナー制度は存在するが、これは林業地集約と効率的な素材生産を前提とした計画・進行管理能力の向上を図るものであり、森林の多面的機能の価値化や社会との連動に十分応えるものではない。結果、市場ニーズと施業現場(技術者)の間を取り持つことのできる人材が圧倒的に不足し、深刻なミスマッチが生じている。
本取組は、500年の歴史を誇る吉野林業の中核地・川上村と、林業における新規就業者獲得・定着において全国先進の鳥取県智頭町という、日本を代表する二つの「人工美林産地」が連携し、市場ニーズと施業現場の橋渡し役を担う新しいフォレスター人材像「フォレストデザイナー」を定義・発掘・育成すること、ならびに関西圏の都市部居住者を中心とした人材が両林業地を往来して森林管理に参与する二地域居住モデルを構築することを目的とする。林業地としてのブランド力と企業連携実績に強みを持つ吉野と、複業を軸とした域外人材獲得に強みを持つ智頭が、技術・社会連携・体制構築について相互に学び合う環境を構築し、二つの林業地を往来する二地域居住者の増加と、それを支える特定居住支援法人の運用ロールモデルを全国に提示する。

【②取組の概要】本取組は、令和8年度内に以下4つの構成要素を一体的に実施する。
(1)フォレストデザイナーの人材定義とコンピテンシー体系の整備従来的な森林施業プランナーが担う作業道設計・森林経営計画策定能力に加え、生物多様性・脱炭素・森林サービス産業を視野に入れた森林のゾーニング設計、企業連携を前提とした事業設計・対外交渉能力を統合した、現代型の森林管理者像を定義する。技術者個人が全能力を保有することを前提とせず、施業技術をもつ既存人材との連携を前提とした「適切なチーム体制」で機能することを設計思想とする。
(2)吉野(川上村)における「社会と共生するフォレストデザイン」スクーリング3回の座学、川上村内の実証フィールドでの踏査イベント、ゾーン設計および作業道開設設計を通じた実践的デザインプロジェクトを連動して実施する。
(3)智頭町における共創イベント「DEEP FOREST BOX」を発展させた企業との共創促進の場づくりこれまで林業関係者中心に3回実施してきた本イベントを、二地域居住推進と企業連携の場として再設計し、脱炭素・生物多様性・森林サービス産業に関心を持つ企業と林業関係者が出会う共創の場として開放する。
(4)両地域間の人材交流とフォレストデザイナーに求められるナレッジの体系化、および本モデルの全国横展開可能性の検証。
運営にあたっては、川上村から大和森林管理協会が、智頭町から智頭複業協働組合が特定居住支援法人としての指定を受け、シェアハウス・実証フィールド・地域コーディネーター配置等の受入れ体制と、関西圏・首都圏からの人材送出機能を一体的に整備する。

取組事例詳細

資料ダウンロード

  • 09_【概要資料】吉野・智頭林業型二地域居住構想
  • 09_【応募申請書】吉野・智頭林業型二地域居住構想
  • 先導的事例

    実施地域

    奈良県川上村 鳥取県智頭町

    実施年度

    令和7年度

    カテゴリ

    #環境・エネルギー#官民連携